このコンサートの演奏を聴いて、最も勿体ないと思った事は、私にしか解らない事です。
何故ならば、この全ての曲毎の複雑なリズムパターンの数々を、私は舞を舞うように習得し、
演奏しきりましたが、常に心の中には『ジャストとノリの良さ』を念頭に置いておりました。
私はこの演奏が録画されて、録音を聴いてまず最初に思った事は、『MIDI発音が全て等しくモタッてる』
という現実でした。この演奏を聴いて、そう感じるのは、何と!演奏した本人のみであるという事実です。
何故ならば、叩いた本人以外は、この曲のリズムパターンをどういうタイミングで叩いたか知らないのです。
叩いた本人以外は全て『打撃がMIDI信号に変換され、その信号命令による出力音』しか聴いていないのです。
そして叩いた本人だけ『MIDIパッドを打撃した打撃振動』をアタックと感じ、そのタイミングで演奏してます。
このコンサートを終え、親しい友人が『今日の友田さんは心地良いモタリ感だったね』と言われ、最初、
何を言われたのか、さっぱり意味を理解出来ませんでした。その感想の意味が、MIDI変換に由るタイムラグが
20ミリ秒あり、叩いてから発音するまでに時間差がある事を知った事により、やっと理解出来ました。
もう一つ、残念だったのが、私の生ドラム演奏の音量が大きかった為に、平沢氏の歌をマスキングして
しまっていたところでしょう。どうしても生のニュアンスで叩きたかった。その欲求の結果でした。
そして最後の残念は、生ドラムを拾う為のマイクに、MIDIパッドの打撃音が拾われている事です。
特に本編最後の曲みたいに、MIDI音にアタックが無い音の時に『コツン』とMIDIパッドのアタックが
際立ってコンサート会場に響き渡っているのは、極めて非音楽的と申せます。
この3つの残念を解決する為に、私はハイリーズのCubeMicを発明し、エフェクト処理に由る
音造りで、なるべくMIDI発音を少なくし、生のニュアンスをそのままにしつつも、
ドラム演奏音量自体をカホン程度に抑える事を実現しました。
もしこのコンサートを『ハイリーズドラムセット』で、もう一度演奏出来たら、
かなりクリアーで良いサウンドが出せそうな予測が立ちます。