この理論は、レコーディング、ライブツアー、リハーサル、自宅練習、テレビ出演など、多くの音楽業界内部の仕事現場を20世紀に歩み続けた
経験に基づいた環境改善をテーマとして執筆している自身の仕事の記録も含まれており、専門用語も多く出現しております。初心者の方には
理解するのに辞書とか、インターネット検索とか、補助知識を必要とする部分もあるかもしれません。どうか忍耐を以て、お付き合い下さい。
皆さんは、6インチのタムをフォルテシモで叩く力と18インチのフロアータムをフォルテシモで叩く力が、同じだと思いますか? ドラムを叩いている人なら、解ると思うのですが、当然6インチのタムの方が、少しの力でフォルテシモになるんですよ。 音楽というのは、ピアニシモからフォルテシモまでのダイナミクスを用いて、合奏するわけであり、音楽的に必要とされているフォルテシモは、その楽器が【もうこれ以上叫べないよう〜〜!】と悲鳴を上げたポイントがフォルテシモであり、それは音量ではないのです。 つまり小口径のドラムは、小音量でフォルテシモになるのです。 要はダイナミクスの出し方が少量の力量の中の微調整な世界になってくるわけです。 大太鼓を叩く時は、体中をバネにしてバチを振らないと、良いフォルテシモは出せませんが、スプラッシュシンバルを打撃する時は、指の力だけでスプラッシュ!と弾けてくれます。 水平型エレキバスドラムは、小口径な為、弱く専用フットペダルを踏んでも【ドス!】というフォルテシモにすぐ鳴るわけです。 ご存じですか? バスドラムを思いっきり弱く叩くと一番重低音のロングトーンを鳴らせるって。。。 だから水平型エレキバスドラムを弱く踏んで、コンプレッサーで持ち上げると、充分音楽的な重低音を出せるんですよね。 その上、騒音問題で最も注目されるべきバスドラムの音量は、水平型エレキバスドラムにすれば、なんとカホンのフォルテシモよりも こういう話をしていると訊いた、とある少年ドラマーが私の前に来て、私を見ながら思いっきり8インチのAltoスネアを叩き続けました。 私はニコニコ笑っていました。 そして瞳の奥で 私は音楽を奏でる為にドラムを演奏したいんです。 だからハイリーズドラムセットを叩いて幸せなんです。 |
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Highleadsスティックの意義について 小口径のドラムを14mm直径の標準スティックで叩くと、ちょっと音がつまった感じになるのはご存じですか? 逆に14インチスネアドラムを直径16mmとか練習用極太スティックで叩いても、野太いけど倍音の少ないつまった音になるのはご存じですか? これは叩いた瞬間にスティック先端が打撃面に接触する接面積が大きい程、打撃振動をミュートしているという事なんです。 つまり細いスティックにした方が、倍音が豊かに響く打撃がしやすく、更には音量が小さくなるんです。 さてさて、皆さんの耳に一番馴染みのあるのが、14mmのスティックで14インチのスネアーを叩いた音ではないでしょうか? つまりこの響き具合を小音量で再現する場合、どうしたら良いか解りますか? ハイリーズの出した答えは、特許第3434509号で記述している内容ですが、直径10mmの細いHighleadsスティックで10インチのスネアを叩けば、同じ響きらしくなるという結論でした。 つまり打撃面に対するスティック先端の打撃時の接面積を近率化する事に由り、響き具合を比例的に同じにできるわけです。 更に申せば、直径10mmの細いHighleadsスティックで8インチのAltoスネアを叩くと、付属ヘッドが少し厚めの生皮テイストな為、野太くて暖かい皮のような音色になるんです。 ファイバースキンヘッドを張った14インチ深胴スネアを15.1mmのスティックで打撃した感じの音なんですね。 これ又、良い音なんですね。 面白い真実ですよ〜〜。 そして細いスティック(Highleadsスティック)の利点は何か? それは前回記述した【叩く力について】でお伝えしたように、小口径にすると、【ダイナミクスの出し方が少量の力量の中の微調整な世界になってくるわけです。】 少量の力量で微調整なダイナミクス調整をする時、標準スティックで行うよりも、細いHighleadsスティックで行った方が、普通の生ドラムを普通のスティックでダイナミクス調整する感覚に近いバランスでダイナミクス調整ができるという事なんです。 そして軽い為、体力の消耗が少なくて済む為、普通のドラムよりも長時間叩いても体にダメージが来辛くなるんです。 ギタリストやキーボーディストに比べて、高年齢でドラムを続ける人が少ないのは、体力的に限界を迎えるからではないでしょうか? フィルコリンズもビルブラッフォードも若くして引退してしまいましたね。体力の限界を理由に。 又、腱鞘炎になってしまう人も多い。 私は、ハイリーズなら死ぬまで叩き続けられるという確信を持っております。だって、弱い力で良い音で演奏出来るから。 Altoスネアの事を上で触れておりますが、正直申しまして、Highleadsスティックは、製造元の【技術的限界】に由り、現在の太さとなっております。しかしながらAltoシリーズは、更に小音量を目してサイズを小さくした結果、ジャジーで繊細な音を出すには、Highleadsスティックでも太すぎる位なのです。そこで登場するのが、なんと100円ショップで販売されている390mmの【長い菜箸】なんですね。菜箸は竹で出来ており、弾力性があり且つ硬い素材なので、ロール時のリバウンドも好適であり、シンバルのチップ音もヒッコリーで大口径を叩いたようなしっとりとした音になります。商売第一なら、こんな事は決して書きません。でもデリケイトな演奏を小音量でしたい場合は、AltoKitシリーズを菜箸で演奏する事をお薦めします。360mmは、100円ショップで単品売りを見つけた事はありませんが、ニスなんか塗られていると、長さと言い、チップの硬さと言い、しなり具合と言い、かなり良い音します。難しい譜割りで移動が激しくて、ゆっくり体の動きを覚え込まなければいけない演奏の練習時とかに、小音量でドタバタ修練したい時とかには、330mm位の更に細くて短い奴で、練習すると音量は更に落ちて、周囲に優しい練習時間を提供出来ますよ。あまり下手な時は、聴かせたくないでしょう? 330mmの細めな菜箸で、先端に溝が複数刻まれている物は、弾力性もリバウンドに適しており、32分音符のロールなんかもコロコロと良い感じに、楽に演奏できて、更にそれをコンプなんかで持ち上げると、ソウル系16ビートの心地良いゴーストノートが際立ちます。但し、ロックみたいにパワフルに叩きたい時は、Highleadsスティックの音が野太くて良いでしょう。菜箸でパワフルに叩くと、かなり寿命短いです。すぐ先端が折れます。 ハイリーズドラムセットは、エレクトリック音をヘッドホーンでモニターしながら練習出来るので、ヘッドホーンの中では、細く短い菜箸は、逆に倍音が豊かになり、繊細なダイナミクスが表現しやすくなり、小さい力で演奏できるから、体力も消耗せずに長時間練習できて、本当に良い事だらけなのです。これも上に書いた理論に基づいた応用となっております。 |
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アコースティックドラムをライブでPAで拾ったり、レコーディングしたりする時に最も多く使われるのが、マイクロフォーンで楽器全体、もしくは一個に対して1個、場合によっては2個のマイクロフォーンを立てて、ドラム演奏を拾い、それらの拾った音をミキサーが『ドラムセット』としてステレオチャンネルにまとめるというやり方でしょう。 このやり方の場合、ミキサーが良いと思っているドラムセットの音に、ミキサーが仕上げるという結果になります。これはドラマーが『自分の音』と思っていた自分のセットは、ミキサーによって音調整されてミキサーの好みの音になります。これをドラマーは、『俺の音にしろ』と言う事は、ミキサーという立場に対する越権行為となります。ミキサーは、位相の問題とか、各マイクの立てた角度や距離により生じる音響上の諸問題を解決できるエキスパートの為、その存在を信頼しきる事しか出来ないのが、現在のドラム収音における常識でしょう。 マイクロフォーンとは、空気振動を経由して、音を収録する機器であり、どんなに指向性の強い機器であっても、周りの音を除外する事は不可能に近い芸当なのです。特に小さい音でニュアンスを出すハイハットワークを収録するべきマイクロフォーンの50センチ以内に、ドデカイ鳴りを誇るスネアドラムが君臨しており、ハイハットの高音とスネアのスナッピ音が周波数的に近い為、ハイハットの演奏だけを独立して録音する事ほど難しい事は無いでしょう。当然、恐ろしくドデカイ音で、ハイハットの収録トラックにはスネアドラムの音が入っています。更には、ハイハットの真上辺りにクラッシュシンバルとかがあったりして、当然叩けば、ハイハットの収録トラックに堂々と君臨するのです。 空気振動の伝達速度が一秒間に340mである事は、学校で物理の時間に習いますが、それは1ミリ秒間に34cmしか伝達できない速度です。 これらの諸問題をまとめて、スタジオ録音時の『音の回り込み』と言います。 更には、ライブ会場で考えましょう。最近はイヤーモニターが発達し、耳の形にオリジナル注文したイヤホーンをドラマーが付けて演奏する事も多いですが、これは極めて耳にダメージを与え、難聴とか、もしかしたら耳が聞こえなくなるという危険まで覚悟して、仕事としてするプロの音楽家も多いと思います。ドラムの音が大きければ大きい程、その音に勝つ音量で、他の演奏をモニターする必要があるからです。 私が『ソフトバレイのインキュベートツアー』に参加した時、テンポ150程度の曲で16分音符のシンコペーションが山程あるA-DAT16チャンネルに収録されていたオケを聴きながら、ドラムがずれない様にダンサブルなビートを演奏し続ける為に、私は骨で音を聴く位大きいな音量で密閉型ヘッドホーンでオケをモニターしました。ワンツアー終わったら、難聴になりました。 さてさてライブハウスなんかに多いのが、『転がし』と言われる空気を経由した『モニタースピーカー』から演奏を返してもらって演奏する方法です。この場合ドラマーは、ドラムの音に対して聞こえる音量で音を返してもらいます。ドラムセットは右側にフロアータムとかライドシンバルとかデカイ楽器が並び、ハイハットの上辺りに譜面を置くドラマーが多いでしょう。私もそのタイプです。 つまりドラムの音に負けないぐらい大きな音で、ハイハットの横に歌とかギターとかベースが発音される訳です。ハイハットのマイクロフォーンからハイハットの距離が10センチだとして、モニタースピーカーからハイハットのマイクロフォーンまでの距離が150センチ位になる事が多いのかもしれません。空気の伝達速度は上に書いた通りです。これはドラマーだけの話。 じゃあボーカルの前にもモニタースピーカーはあるのです。2メートル位(それ以上)後ろからドラムの大きな大きな生音が響き渡り、その前にボーカリストが立って、2メートルくらい前からモニタースピーカーで演奏を返してもらい、その音も、ボーカルマイクは拾わないわけがないんですね。横にアコーディオンが居たりしませんか? ボンゴが居る? ええ〜〜カホンですか? そこにそれぞれマイクロフォーンがあって、モニタースピーカーもある。。。もうグワングワンですね〜〜。こういう状態をライブステージ上の『音の回り込み』と言います。 良く大好きなアーティストのCDやレコードのスタジオ録音が気に入って、そのライブを見に行って、コンサート会場では演奏の音がグワングワンに回っちゃって、本人の姿を遠くから見れただけのコンサートに何度も行った事があります。『音の回り込み』は、現在の収音方法においては、不可避な現実でしょう。 空気を経由して音を拾う限りは、この世界から抜け出す事はあり得ません。特にドラムやパーカッションは音が大きく、マイクロフォーンも沢山立てられ、モニタースピーカーがあれば、その出力音量は大きくなりがちだからです。 さてさて、近年はコンピュータが発達し、『打ち込みによる音楽制作』がコストダウンの為、当たり前となっております。打ち込みの世界では、ハイハットはハイハットとして独立に打ち込まれ、スネアはスネアと独立に打ち込まれます。そうすると『この利点をひけらかしたい』という若いアレンジャー達は、遊び心から、ハイハットにフランジャーをかけたり、ステレオディレイで左右に飛ばしたり、スネアだけにゲートリバーブをかけたり、ベースドラムだけはノーミュートにして目一杯コンプとかリミッターで潰したり、タムだけに深いリバーブをかけたりして、『リズムアンサンブル』をアレンジしたりします。商業音楽の世界では、そういう音作りが当たり前となっており、私が通信カラオケ『孫悟空』のディレクターだった時代に、検収中の曲を聴きながら、『ふ、、どうやってライブで叩くんだよ。。。』と口から漏れ出るようなリズムのオケは、山のようにありました。人間がドラムを叩く場合、各楽器に独立でエフェクトをかけて一斉に叩くと言う事は、『音の回り込み』がある現実世界では、不可能な事です。たとえ『ハイハットにフランジャーをかけたい』と思っても、それだけですら叶わないのです。 近年の商業音楽のコンサートの多くが、ダンスがフューチャーされ、オケは録音されたものが流され、生演奏が減っていないでしょうか? しかしながら、コンピュータにより制作された音楽というものは、毎回同じ音が再生されるだけであり、その場の空気を読む事はありません。コンピュータは、完全な物を再生させる機械でしかありません。 でも音楽の本当の姿って、何なんでしょうか? 人が音を奏で、他の人がそれを聴く。 奏でる人が音を楽しみ、聴く人がそこから何かを感じる。 そこには奏でる側は聴く人の事を感じ、聴く人は奏でる人の心を感じるという、相互のコミニュケーションがあるのではないでしょうか? 又、それができる演奏家こそが、聴きたいと思ってもらえるように感じます。機械は、ただ単にデータを発信しているだけであり、受け手の気持ちが分かる事や、共演者の気持ちが分かる事が全く皆無である一方通行の発信機器でしかありません。 話を振り返ってみて、若いアレンジャー達が試みた各楽器に別々なエフェクトをかけて、頭に浮かんだ通りのリズムアンサンブルを制作したアレンジは、じゃあ良くなかったのか? いえ、そんな事はありません。それは『できる様になったからやりたかった事を実現した』までの事。それはそれで、楽しい音世界なのです。じゃあ一方通行ではない形で、こういう別々にエフェクトをかけたリズムアンサンブルをライブ演奏する事は、不可能なのでしょうか? 実現させる方法として『空気を経由した音が回り込む収音方法を止めて、各楽器の演奏を独立して収音出来れば可能』となります。元々打ち込みは、各楽器毎に独立して音を制作しているわけであり、ドラムや打楽器も各楽器毎に個別に収音できさえすれば、打ち込みと全く同じ形で、リズムアンサンプルを構築できる訳です。 そんな方法があるのか? はい! あります! それこそが、ハイリーズ(Highleads)です! ハイリーズのCubeMicは、打楽器の打撃振動を直接電気化する打楽器特性マイクであり、『空気を経由せずに各楽器の演奏を独立して収音出来る』世界唯一の特許取得済みの収音方法です。 つまり『音の回り込み』や『マイクロフォーン間の距離から生じる収録音の時間差』が全く無く、打撃地点からCubeMicまでの、ドラムならヘッド約10センチ程度の振動伝達速度、シンバルなら打撃地点からCubeMicまでの、シンバル約10センチ程度の振動伝達速度の後、即座に演奏が電気化し、ケーブルを走ってスピーカーから音が出力されます。 収音の伝達速度は、空気振動経由よりも物質内伝達の方が速い事は明白です。 しかも個別に収音している為、打ち込みのアレンジと全く同じく、個別にエフェクト処理が自在です。 ドラマーは本来スティックでドラムとシンバルを叩いたり、フットペダルでバスドラムとフットハイハットを脚で踏んだりしており、叩いた瞬間に、スティックとフットペダルを介し、手足を通じて、打撃振動が骨を伝わって脳に到達しており、その振動を己れの演奏と感知して演奏しています。だからたとえ耳が聞こえなくなっても、ドラムを叩けば振動を感じる事が出来ます。 そしてそれは、自分一人のみが感じ得る己れの演奏なのです。 そのドラマー自身のみが感知している己れの演奏にとって、最も忠実な収音方法は何か? 当然、演奏振動を『空気の振動伝達を経由して伝える』のではなく、『叩いた打撃振動をそのまま出力できる手段』の方が忠実であるという事は、この話からご理解頂けませんか? ハイリーズが提供している手段は、打楽器奏者にとって『その脳で感知した演奏に一番近い出力を実現させる手段』です。 『自由自在なエフェクト処理を施したリズムアンサンブルをライブで実現させられる唯一の手段』です。 どうかハイリーズを用いて、21世紀のリズムアンサンブル、ライブ演奏を進化させて下さい。 打楽器奏者の皆さん。 自分の演奏は、自分の好みを貫いて、自分で思うままに構築したくありませんか? ハイリーズなら自分の音を自己責任で構築し、ミキサーに『これが私の音です』と提供できます。 ギタリストのように。 キーボーディストのように。 ベーシストのように。 |
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皆さんは、エレキギターの生音を聴いた事がありますか? 鉄の細い弦で高音が強いペンペケでジャラジャラした音ですね。 エレキギターの収音方法は、鉄の弦の近くに磁石を設置し、鉄の弦が振動して磁石から近くなったり遠くなったりする現象に由り、磁石内に生じる『誘発電流』という電流を、磁石の周りに巻いたコイルで拾い上げるという『電磁コイル式』の収音方法で拾う方法論上、実際の音よりも中低音が増幅され、高音が少なめに収音されてしまうという結果だったのです。こういう実際の音と発音される音の差異の事を《周波数特性》と申します。 調和とエコロジーを求めて小音量とコンパクト軽量を目指したハイリーズにとって、この電磁コイル式の周波数特性は大きな利点でした。 小口径のドラムは音が小さく、鉄の弦に近い高音が多めのテンテケサウンドです。でも電磁コイル式の周波数特性のお陰で、普通のマイクで音を拾う以上に中低音が出て音も伸び、実際の口径よりも大口径のタムの音に近くなります。これはシンバルハイハットの場合も同じです。小口径の方が音が小さく、すぐクラッシュし、高音が多いのですが、周波数特性のお陰で、大口径のシンバルの音に近くなります。 以上の理由により、ハイリーズのCubeMicは『電磁コイル式』であり、電磁コイル式にはシングルコイルとハムバッキングというタイプがございますが、高音のキレイさの観点からシングルコイルです。 又、ハイリーズがドラムを淺胴にしている理由は、単に運搬しやすいというポイントのみではありません。 フレームドラムは中近東で栄えている楽器ですが、重低音を響かせる楽器で淺胴です。逆にコンガを見て下さい。あれは縦長深胴ですが、大きい割には高音がメインです。ドラムメーカーの特性表記を見ても明らかですが、深胴にするメリットは『音量が大きくなります』と書いてあります。つまり淺胴は『音量が小さくなる』という特性も持ち、同時に淺胴の方が低音が出て、ローチューニングしやすいからなのです。 又、淺胴の楽器の中でパンディロもございます。 パンディロ奏者第一人者の『マルコススザーノ』は、パンディロにコンデンサーマイクを仕込んで、パンディロをローチューニングにしてガムテープなどで補強し、更にエフェクターを用い、叩き方を改革して、『パンディロでドラムのような音を出す』と世界に言わしめました。 そして彼が君臨した理由には、 これらは、ハイリーズドラムセットを用いて行える事ばかりです。 最後に特筆すべき点は、CubeMicはまるで楽器に耳を付けているみたいに演奏振動を直接収音する為、空気を経由すると届かないような微弱な振動まで拾い、実際に耳で聞こえる音以上に減衰音が長く収音できます。だから『CubeMicを楽器に圧接しているから音の伸びが悪いんじゃないか?』と疑っている方に申します。『エレキギターの弦のように、聞こえる以上に音が伸びるので全く問題ありません。』 逆に口径が16インチを超えると、リズム楽器という観点から、音楽的には音が伸び過ぎかもしれません。 |
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CubeMicの先端に取り付けた金属板『共振磁性体』は、ドラム演奏という行為に適応した強度に設計されており『多少の振動では共振しない』という『鈍感力』があります。この鈍感力のお陰で、各楽器毎個別的に『その楽器を叩いたりこすったりした事に対して生じた振動』でないと感知しないという結果が得られます。 シンバルの場合は顕著であり、シンバルという金属が振動しない限りCubeMicは振動を感知しない為、シンバルから10センチ位の場所で大声で叫んでも、その声をCubeMicは拾いません。但し、ハイリーズドラムセットのように軽量化を目してシンバルスタンドやハイハットスタンドからマウントクランプを用いてドラム類をマウントしたりすると、スタンド経由で伝達された微弱な振動を拾います。 ドラムの場合、ドラム用共振磁性体は薄い金属板をアーチ状に反らせて『ヘッドに圧接する形』を取っている為、好きなヘッドに張り替えたりへたったヘッドを交換したりする際に、CubeMicを一切弄る必要なく、普通のドラムのヘッド交換の感覚で張り替えやチューニングやミュートが自由自在です。 しかしながらドラムヘッドは膜であり、膜が共振した場合、CubeMicはその共振を感知します。厚いヘッドや2枚重ねのヘッドは比較的音の分離性が良く、その楽器の振動だけになるのですが、標準のヘッドは多少周りの振動でヘッドが共振したりします。レモ社がデュプロマットと呼称している薄型ヘッドになると更に周りの振動に共振しやすくなります。ヘッドを選ぶ場合は、ヘッドの厚みがCubeMic収音時の音の分離性に影響を及ぼしている事を認識して選択して下さい。 ハイリーズドラムセットは、音調整部としてMOTUオーディオインターフェイスが付属している為、USB(Firewire)ケーブル一本でパソコンに繋ぐ事により、あらゆるソフトウェアを介して録音が可能になります。
が入力され、それぞれ録音用monoトラックを作成し、録音ボタンを押すだけで、ドラムを8monoトラックで個別的に録音が出来ます。 CubeMicの鈍感力から来る音の分離性の良さは、録音や音処理をする時に絶大な長所となり、8monoトラックには、それぞれ上記の理由で微弱な回り込み振動を拾った、殆どソロ録音と申せる個別録音が可能になります。又、8トラックを同時に再生すれば感覚的にお解りになると思いますが、ハイリーズドラムセットの微弱な相互の回り込み振動が逆に功を奏し、分離性が非常に良いながらも、目一杯指向性の優れたマイクロフォーンを8本用いたオンマイク録音のような、自然なセット全体録音として再生されます。 又、Highleads用音調整部には、設定が8プリセット保存されてあり、EQ-onlyはEQ処理のみ。EQ-Compはコンプがかかった音。 ハイリーズドラムセットは、周囲の環境音的空気振動を一切収音しないで演奏振動のみを収音できる為、反響の激しいコンサートホールに設置しようが、洞窟に設置しようが、一戸建ての応接間に設置しようが、山の野原に設置しようが、海底戦艦の中に設置しようが、スペースシャトルの中に設置しようが、全く音を反響させない無響室に設置しようが、出力・録音されるドラムセット音は全て同じ音になります。 つまり『周囲の環境に左右されず、自分の設定・チューニングを忠実に出力・録音出来るドラム』なのです。 そして、パソコン1台あれば『どこでもレコーディング』ができます! 次の章より、この即座に録音できる個別8トラックに音処理を施して、リアルタイムエフェクトドラミングを行う設定方法を講座致します。 ※ なお、2014年9月より、廉価版音調整部として、Zoom社製R16に対する無料設定インストールサービスも開始しました。 参考動画:Highleads用音調整部設定アップグレイド2014 これらハイリーズドラムセットに対する音調整部の併用を強く推奨する最大の理由は、 《複数のCubeMicを近距離で使用する場合に生じる相対的位相ノイズを解消する為の各トラック逆相スイッチのあるミキサーが必要》 だからです。その部分を詳しく説明している動画を参考にご覧下さい。 参考動画:Cube5のデモより R16を音調整部にしたらより |
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先ずはじめにハイリーズドラムセットに付属しているHighleads用音調整部内のエフェクト処理から講座させて頂きます。 最初にMOTU Audio Setupを立ち上げ、画像と同じ設定にして下さい。 CubeMicからXLR(キャノン)ケーブルを用いて、Highleads用音調整部のアナログイン1~8に前章で書いたハイリーズが定めた配列で接続する事に由り、MOTUオーディオインターフェイスは、CubeMicが収音したアナログ音声信号をデジタル化して内部のデジタルミキサー機能に送り込みます。デジタルミキサーにはDSPが内蔵されており、数サンプルという殆ど遅れを感じる事のない処理速度で処理できる優秀なEQとコンプレッサーとリバーブという3種類の内部エフェクトがございます。 この画像はMac版のCueMix FXのINPUTS画像となっております。このCueMix FX(Windows版も付属です)がパソコン上で、MOTUオーディオインターフェイス内部のデジタルミキサー機能と内部エフェクト機能を操作するソフトウェアですので、この使い方を習得する事はハイリーズドラムセットを使いこなす上で、初歩的基本となります。必ず習得して下さい。 内部エフェクトで最も重要なのが、画像右に表示されているEQ(イコライザー)です。一般的にドラマーがソロで好む音は一概に音楽で求められる音と一致するとは限りません。何故ならば音楽の中で多くの場合、ドラムはバッキングに使われるからです。『良い音』という極めて抽象的な表現しかできませんが、一般的な音楽で言う『ドラムサウンド』とは、現代音楽のアンサンブルの中で求められるドラムサウンドであり、これは歌が気持ち良く聞こえる周波数帯をあえて避け、お互いが引き立て合える様に、ドラム独自の求められる周波数が突起したサウンドでございます。故に、ハイリーズと致しましては、音楽アンサンブルで求められるドラムサウンドと、CubeMicの周波数特性をブレンドして割り出し、ハイリーズドラムセットを演奏する事に由り、現代音楽のアンサンブルの中で求められるドラムサウンドとして出力するように、EQ設定をHighleads用音調整部の内部に設定しております。この画像の左中央下辺りから右に向かって8個の波形がございますが、これがアナログ1~8に対してハイリーズが設定した『デフォルトEQ』です。最もニュートラルな音になるように設定保存してあり、ハデすぎず、ソロの生ドラム的な良い音とも又少し違い、アンサンブルの中で演奏した時に『CDで再生された音楽の一部の生っぽいドラムセットの様な音』にしてあります。一番左のバスドラムは重低音を持ち上げ、スネアは低音とスナッピ音、タム類は低音部と高音、ハイハットとシンバル類はそれぞれに高音部を持ち上げ、歌などが最も使う中音部を大幅にカットしてあります。いわゆる『ドンシャリドラム』な感じで、アンサンブルの中でしっくり来ます。ちなみにこの画像のAnalog3の下にある『FOCUS』ボタンの右が青になっていますが、これは『今はAnalog3の設定を表示してますよ』という意味です。右側上に拡大表示された『EQ画面』は真下の小さなEQ波形の実際設定図になっており、右下にあるノブ類が7バンドEQの調整ノブになっております。これらを弄る事により、Analog3のEQを変更する事ができます。 『FOCUS』ボタンをAnalog1~8に順番に押していけば、全てのチャンネルの設定を確認出来、調整ノブを弄れば、EQを変更できます。 PHASEボタンは、CubeMicの組み合わせ設置位置から生じる位相的なノイズを最低限に抑える為の設定であり、このPHASEボタンのON(青)/ ハイリーズの定めたプリセット1の『EQ-only』は、このEQ処理とこの画像のPAN設定をしただけのシンプルなプリセットです。このPANは、最初に表示した画像の中で選択されていないMIXESというタブの画面に存在しており、この画像のPAN設定はMAIN OUT1-2に対する設定であり、ちょうどドラムセットに座った位置から見渡せるセットの感じを尊重しながらも、ハイハットは中央寄りにし、タムとシンバルが左右に開いた感じに設定してあります。これもPANノブを調整する事に由り、自由に8楽器のステレオ間に於ける位置を設定変更できます。 この画面は、MIXESというタブの右側にある下三角ボタンをクリックした状態です。内部のデジタルミキサー機能はBus 1 ~ 8 までミキシングを設定出来ます。ハイリーズとしては、Bus 1にMain Out 1-2を設定しており、Bus 2~5を使用して、『Analog1~8のインから入力された各楽器に対して、EQとDYNAMICS設定のエフェクト処理された結果音』をAnalog1~8のアウトからそれぞれ出力出来る様にミキシング設定してあります。 ハイリーズの定めたプリセット2の『EQ-Comp』は『EQ-only』にコンプレッサーをかけたプリセットになります。 このEQとコンプレッサーという2大エフェクトは、打撃アタックを音処理するエフェクトであり、最も遅れが許されないエフェクトと申せましょう。音調整部内部で、EQとコンプレッサーを内蔵DSPの数サンプルの処理速度で実行できる事は、ハイリーズドラムセットの打撃音を自然に美しい音に処理して出力する上で、極めて有効な機能です。 ハイリーズの定めたプリセット3の『Jazzy』です。 Jazzyは、ドラムセット全体を表現の言葉として、バスドラムもスネアもシンバルもタムも平等にアコースティックでトラディショナルなプレイを表現する為に演奏したいジャズドラマーの事を考えて設定しました。 プリセット4の『WarmRoom』はJ-Popとか、標準的な歌物のバッキングに適している設定。 プリセット5の『PunchBeat』はちょっとアグレッシブな攻める感じの迫力のあるビートを叩きたい人向けの設定。 プリセット6の『Powerful』はポップスなんだけど、ちょっとパワフルな感じを出したい時に使える設定。 プリセット7の『FATROCK』はヘビーな8ビートを叩きたい人向けの設定。 プリセット8の『Ballad』はテンポ80くらいのゆっくりしたバラードを演奏したい時にしっくり来る感じの設定。 ハイリーズとしては、これら8プリセットを選択する事により、多くの音楽に対応した『レコーディングされた自然な生ドラムセット』的な音色のドラムセットとして、リアルタイムに合奏出来るという設定にしてあります。 どんな場所にハイリーズドラムセットを設置しても、これらの設定された『コンサートで必要と思われる様々な曲を演奏する為の設定』をメインアウトからステレオ出力して合奏演奏が出来ます。曲毎にプリセットを変更できます。 設定の変更の仕方は、Highleads製品取扱説明書をダウンロードして、良く読んで下さい。 又、上の説明で理解して、設定を変更して自分のプリセットを作成しても全然かまいませんが、 初期化してしまったら、ただのMOTUオーディオインターフェイスに戻ります。 音調整部内の設定をCueMix FXで操作する事は、ハイリーズドラムセットを使いこなす初歩基本ですので、 ここが理解出来なければ、ここから先へは進めません。 |
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先ず最初に耳をすましてみて下さい。あなたは何が聞こえますか? パソコンのファン。行き交う車。電車の音。飛びすぎる烏の鳴き声。ヤカンの蒸気。加湿器の音。冷蔵庫の音。等々。。。。。。 昔、レコードの時代に、レコード針がレコードに落ちると、音が始まる前にレコード針がレコードの溝の中を走る音が既に存在していました。その音はあたかも音楽の一部のように存在し、音楽の始まりを感じさせたものです。 『カセット』という磁気テープに録音して再生させるアナログな時代には、性能の優秀さを売りにする電機業界が『SN比』と言って、音に対してどれ位ノイズがないかを競った時代がありました。テープノイズをどれ位軽減させられるかを競った結果、『ドルビーシステム』という手法が発明され、一定以上の音量を肥大させて、全体の音量を落として、ノイズを下げるという手法が始まりました。 これらの『ノイズ』とも言える環境音は、CDが開発されてデジタル化する事に由り、『0』か『1』かというクッキリとした音の区分けのマスの中に音楽が入ってしまった時点で、一気に整理されました。しかしプロのレコーディング現場では、ベテランミキサーの中には『ホワイトノイズ』を音楽の中に録音して小さく持ち上げ、この『環境音』をCDに採用している方が居られた事をお伝えさせて頂きます。あまりに音楽として発音した音以外が整理されすぎてしまうと『臨場感』『音圧』というものが逆になくなってしまい、薄っぺらい音になってしまうからです。 ミュージシャンがレコーディングスタジオの響きにこだわり、わざわざロンドンやニューヨークに行って音を録音する時代がありました。その最大の理由が『その場の音の響き』であり、そういうレコーディングにより仕上がった名盤には、『独特な空気感』があります。当然この『空気感』も環境音であり、厳密に申せば『ノイズ』なのです。 ギター黄金時代に生まれた数々の名盤で、ギタリストのプレイの前後には演奏していない時もディストーションをかけている為『シー』とか『ビー』とか『ゴー』とか『ピー』等のハムノイズが演奏の延長のように存在し、それは『音圧』『存在感』として、大切な音楽の一部として君臨しております。 故に、音を奏でる演奏家が、ある程度の環境音を発する事は、演奏の一部であるとハイリーズは考えております。ハイリーズのCubeMicもエレキギターのドラム版と言っているだけあり、ギターと同じ磁気コイル式の為、ハムノイズが存在します。そしてこのハムノイズが8個集まった場合に生じる相対的位相ノイズ解消の為の逆相スイッチの事も、前章で触れましたように、音調整部の必要性と繋がります。 ギターの場合は、ディストーションとかOver Driveとか、『歪み系』というエフェクトが多いわけですが、ドラムは『歪み系』を使う頻度は高くなくて大丈夫かもしれませんが、いずれにせよ8点でドラムセットの基本が組まれる事の多い楽器ですから、ノイズはギターの8倍になっても自然です。ある程度のノイズは、音楽になりますが、あまり多いノイズは、音楽として少し邪魔になります。 ハイリーズとしては、前章で記述したCueMix FXで設定した8プリセットが、存在感的に許容範囲のノイズ量であると設定しております。 前章の復習も兼ねますが、基本的に一般的な生ドラムの代用としてハイリーズドラムセットをご使用の場合、CueMix FX内部のEQ+コンプ+リバーブのみで音を仕上げられる事が、機材的にも、運搬的にも、設定的にも、一番楽な選択です。 本章から先は、ハイリーズドラムセットにリアルタイムマルチエフェクトドラミング設定をし、各楽曲に合わせて各楽器毎に全く異なるエフェクトをかけ、曲想に合わせて凡ゆるエフェクトを駆使する場合の講座となり、本章では、主にエフェクトをかける手前のノイズ処理の話になります。 ハイリーズドラムセットにリアルタイムマルチエフェクトドラミングを設定する場合、一番良いやり方は、CueMix FXの『EQ-only』プリセットのメインアウトから出力されるEQ処理された『ダイレクト音(DRY音)』をメインアウトから出力したまま、パソコン上でソフトウェアを用いて、Analog1~8のハイリーズドラムセット使用点数分のAuxトラックを作成し、それぞれのAuxトラックにエフェクトを設定して、各楽器にエフェクトを付加し、その『エフェクト処理された音(WET音)』をメインアウトにミックス(出力)して、ダイレクト音の素早くて克明なハイリーズ音を尊重しながら、エフェクト音でお化粧するというやり方でしょう。 Auxトラックを作成するという基本的な操作は、各ソフトウェアの取扱説明書を読んで学習して下さい。 リアルタイムマルチエフェクトドラミングとして、各楽器毎に異なるエフェクト処理をしたい場合は、一番手前に『ノイズゲート(ノイズリダクション)』をかける事をハイリーズとしては強く推奨致します。 具体的に、DigitalPerformerの設定の一例。Logic(Mainstage)の設定の一例。Liveの設定の一例。をご覧下さい。 これらはあくまでも一例であり、例えばスネアなら、ブラシでこすったり、指で撫でる音を採用する楽曲の場合、ゴーストノートをスティックで叩く場合、通常のショットしかしない場合、近隣の楽器を強く叩いて回り込む可能性が高い場合で、それぞれスレッショルドの設定値を演奏しながら設定変更して仕上げるべきです。スレッショルドは『ここから上の音量はトラックで発音させます』という値です。また、ドラム類のチューニングやミュートに由り、残響音が短い場合と長い場合で『ホールド(伸ばす時間)』『リリース(減衰させる時間)』が変わります。設定は基本的にあくまでも原音に準じて行うのが自然でしょう。 更にはエフェクト効果として、意図的に伸ばす時間を決めて、ザックリ切る場合、ホールドで時間を決め、リリースを0(可能な限り短め)にします。1980年代に流行った『ゲートリバーブ』というドラムサウンドは、この手法に加えて、ゲートの手前に深めのリバーブをかけたエフェクト手法です。ドラムに『ゲートリバーブ』をかける事により打撃する毎に爆発的なリバーブサウンドが炸裂し、一定時間後に、クッキリと残響がなくなる四角いドラムサウンドが可能になります。 各ノブ毎の設定値による音の変化は、音を決める個性に繋がりますので、各ノブの意味を深く知って設定することが最も重要です。 シンバルの場合、心地良い減衰が長いに越した事はありませんが、あまり長く減衰を伸ばしすぎると減衰に混じってノイズまで持ち上がる事になります。CubeMicは、耳で聞こえるよりも長く減衰を拾いますので、耳で聞こえる程度で減衰が終わる、もしくは音楽的にテンポで考えて、全音符分の長さとか、2分音符分の長さでリリースが終わるみたいな設定も良いかもしれません。 ハイハットの場合、フットペダルで減衰をカット出来る為、リリースは短い方が音の歯切れが良くなります。 また『アタック(ゲートが開くまでの時間)』は打楽器である以上、どのパートであっても、短いに限ります。 このように『ノイズゲート』を用いて、エフェクトの入り口を管理する事が、後のエフェクト処理を自由にする上で、非常に有益です。この手法で、『エフェクト処理された音』を大きめにしてメインアウトの音量を下げる事により、『ドルビーシステム』と類似した形でノイズを軽減できます。 |
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あなたはどういうドラムセットが好きですか? ラディックスティールスネアのまろやかな響き。スリンガーランドラジオキングの渋くてステディな響き。ソナーブビンガの倍音豊かで粒立ちが良い感じ。パールの爆発的なアタック感が好き。ネギのジャジーな響きが好き。タムはドン!って感じ。ゴーンって感じ。ムーンって感じ。バスドラはド!って感じ。デン!って感じ。ボム!って感じ。ゲン!って感じ。ズーンって感じ。シンバルはシンシンした響き。バシャーンって重い感じ。ジンジンしていないとダメ。ゴーゴーアーシーな響きが欲しい。飛び道具だから飛んでもないワープな感じにしたい。ハイハットは808みたいにしたい。落ち着いたジって感じが良い。煌びやかで繊細な感じ。ドッシリとしたビートを刻みたい。爆発的なオープンハイハットで破壊的にロックしたい。小鳥のさえずりのようにチッチッチって刻みたい。 ドラムの音は人好き好き。プロのドラマーだったら、『私は上に書いてあるものを全部欲しいし、曲毎に使い分けたい』と言うことでしょう。私は曲毎に全部の音を使い分けたいです。 もしあなたがドラムの音に強いこだわりがあり、その音だけ出ればいいのであれば、好きと言ったドラムセットと同じヘッドを本体に張り、同じニュアンスの出るチューニングとミュートを本体に施してから、CueMix FXの『Dry』プリセットをベースにEQで好きなドラム音と聴き比べながら、EQを弄って、求めている周波数を持ち上げ、違っていると思える周波数を下げれば、かなり近い音にできます。シンバルもそうでしょう。そしてゴーストノートをどれ位聴かせたいかは、コンプをどれ位きつくかけるかで、ダラッとスティックを落としただけで、フィンガーコントロールしているかの如く粒立ちが立った感じにゴーストノートを持ち上げる事も自在です。そして心地良い空間の響きが一カ所で充分なら、リバーブを調整して部屋の広さや響きの長さ等を決めれば、ベストな『マイドラム』が出来る事でしょう。これらは全てCueMix FXの内部だけで実現可能な事ですので、それが仕上がって満足したら、『Save Hardware Preset』を選択し、Preset9~16に『MY SET』と保存すれば、次回からは、どこにドラムを設置しても『MY SET』の音でヘッドホーンからは音が返り、スピーカーからその音を出力出来、パソコンの中で録音出来ます。音調整部には8セット保存出来るスペースがあり、ハイリーズから提供した8セットと合わせて、16セットを保存出来ます。又、パソコン内のCueMix FXには『Configurations』メニューがあり、『Create New...』メニューでセットをパソコン内に保存出来ますので、パソコンと共にある場合は、原則的には『ほぼ無限』に保存出来ます。だからハイリーズドラムセットで『ラディックジルジャン』『ソナーパイステ』『パールセイビアン』『ネギユーヒップ』というセットも作成可能でしょう。 ハイリーズは、最も多くのドラマーに満足してもらう為、なるべく中間地点と思える音作りをプリセットして提供しております。そして好みは人それぞれの為、普通のドラムの代用で考えるならば、このようにヘッドとチューニングとミュートとCueMix FXのEQ、コンプ、リバーブでお気に入りのセットは作れる事でしょう。しかしながらこれは『ドラマーの自己満足セット』と考えます。 もしバンドに所属して、楽曲を演奏するならば、バンドのメンバーが求めるドラムサウンドがあるはずです。私はバンドで合奏する為にドラムを叩きたいです。そうしたら一緒に演奏する人が求めるドラムサウンドがある事は当然です。又、リズムアンサンブルとして求められる物は、ナチュラルなドラムサウンドとは限らないかもしれません。 例えば、『この曲はラディックのスネアにドンってタムで、シンバルは重たい感じでバスドラはボム!て感じ』『次の曲はジャズっぽく』『次の曲はフォークロックな感じ』『次の曲はエレクトロニカな感じ』『次の曲はバラードで風呂場のようなスネアーリバーブで』『次の曲はノラジョーンズの感じで部屋の中でメンバーが寄り添ったようなドラム』『次の曲はゲートリバーブのかかったスネアと体育館に鳴り響くようなタムとスタジオの反響のようなバスドラムと、フランジャーのかかったハイハットで、ライドは目一杯コンプで潰して、クラッシュはピッチシフターで音程を5度下げてディストーションをかけた感じ』さてさて、これを全てCueMix FXのEQ、コンプ、リバーブで解決しようと思うと、ちょっと難しくなってきます。とりあえず『次の曲はエレクトロニカな感じ』となった時点で、何かソリッドな飛び道具的なエフェクトが欲しくなって参ります。 そこで登場するのが、ソフトウェアのオーディオエフェクトプラグインとなるわけです。現在、世の中の商業音楽の多くは、パソコン一台で作られています。20年前ならば、数千万円かけなければ実現できなかった音が、実は数万円で再現出来てしまうように進化しております。パソコンの中にインストールしたオーディオエフェクトプラグインは、数えきれず、ここで書ききれるものでもありません。 例えば、市販のプラグインで『AudioEase社のAltiverb』という空間シミュレイトプラグインがあります。これは実際その場に行って、ピストルの音を発信してその場の凡ゆる位置にマイクをセットして録音し、原音に対する反響を演算して場所と位置の響きを保存し、パソコン内で発信した音声にその響きを計算して宛がうというプラグインです。 つまりニューヨークの有名なレコーディングスタジオのドラムブースの響き。世界遺産に登録されている洞窟の音の響き。由緒正しい有名な教会の響き。数万人を動員するスタジアムの響き。森の中の響き。応接間の響き。トイレの中の響き。空き缶の中の響き。巨大な水道管の中の響き。これらを全てシミュレイトする為、ハイリーズドラムセットにAltiverbを通すと『そこでドラムを叩ける』という事になるのです。しかも曲毎に、違う場所で叩けるのです。1曲目は教会で。2曲目は応接間で。3曲目はスタジアムで。4曲目はニューヨークのレコーディングスタジオのドラムブースで。5曲目は洞窟でドラムが叩けます。 更に極端に言うと、バスドラムは洞窟で踏んで、スネアは応接間で叩いて、ハイハットは森の中で刻んで、タムはスタジアムで叩いて、シンバルは教会で叩く事が同時にできます。しかも曲毎に場所を変更できます。当然、それをパソコンで録音出来ます。 更に凡ゆるオーディオエフェクトプラグインを用いれば、ハイハットをステレオディレイで付点8分音符で左右に飛ばし、ライドシンバルで1小節の16的な音程のあるリズムパターンを一発の打撃毎に残響させ、スネアーにオートワウをかけて、クラッシュにジェットフェイザーをかけて、バスドラにゲートリバーブをかけて、ハイタムに風呂場のリバーブをかけて、ミッドタムにリングモジュレーターをかけててオートパーンし、ロータムにディストーションをかける事ができます。しかも曲毎に全エフェクトを変更できます。当然、それをパソコンで録音出来ます。 こういう『音作り』は現在、録音されたCD作品に沢山発表されている世界であり、クリエイター達が皆求めている『当たり前なリズムアンサンブル』です。そしてこれらのリズムアンサンブルを楽にライブで行う事ができるのが、ハイリーズドラムセットとなります。 もし生ドラムでこれを再現しようとして、例えばコンプのかかったゴーストノートを再現する為には、ゴーストノートを強く叩かなければならなくなり、リバーブのかかったドラムに近づける為にノーミュートのドラムにしたり、とても大変な努力が必要になります。そして実際のものと違う形で再現しようとしても、そこには余分な力が加わっているので、どこか力んだプレイになる事でしょう。エフェクトの力により、それらを実現すれば、楽に叩いて良い響きが得られます。音楽を奏でる上で、『リラックスして演奏出来る』という環境はとても重要です。 ハイリーズドラムセットは、生の小音量の本体部に演奏を与え、エフェクト処理により希望する音に化粧して、ヘッドホーンからモニターしながら演奏ができる為、レコーディングスタジオで一流のミキサーに仕上げてもらった音をモニターしながら演奏しているような『叩き心地の良さ』を実感できます。『気持ち良い〜〜♪』と感じながらリラックスして奏でた演奏は、やはり聴いていても気持ちの良いものです。 そして実現させる為に必要なのがパソコンと、オーディオエフェクトプラグインがかけられて録音が出来るソフトウェアです。 次章で、その内容について、具体的に掘り下げます。 |
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先ず始めに、パソコン内部にインストールしたソフトウェアでハイリーズドラムセットにエフェクトを付加させる方法を説明させて頂きます。 先ず始めに、DigitalPerformer 8 をダブルクリックして起動すると、Macではこういう画面が表示されます。 そしてこの画像のように『プロジェクトを開く』よう聞いて来ますので『キャンセルボタンをクリック』します。 次にこの画面のように『ファイルメニューから新規を選択して右下の空を決定』し、この画像のように『例えばDEMOと名前を書き込んで保存ボタンをクリック決定』します。するとこの画像のような『空のプロジェクトが作成』されます。 次にやるべき大切な作業は、この画像のように『セットアップメニューからオーディオシステムの設定を選択し、右のハードウェアドライバの設定...を選択し』この画像と同じになるよう『MOTU UltraLite mk3 Hybridを選択してからマスターデバイスがMOTU UltraLite mk3 Hybridになった事を確認し、サンプルレートを48000にして、クロックモードがMOTU UltraLite mk3 HybridでInternalになっている事を確認し、バッファーサイズを64にし、作業優先をハイに』します。 その後に、 この画像のように『プロジェクトメニューからトラックを追加を選択し、右にカーソルを移動して下のAuxトラックまで持って行って決定する』事に由り、Auxトラックが一個作成されます。そしてこの画像のようにトラックウィンドウの中に作成されたAux-1というトラック名の『Aux-1をOption+クリックして選択』、この画像のように『BDと書き込んで決定』します。 次にこの画像のように『インプット欄をクリックして新規モノバンドルを選択し、MOTU UltraLite mk3 Hybrid:Analog 1を選択して決定』して下さい。 そしてこの画像のように『アウトプット欄をクリックして新規ステレオバンドルを選択し、MOTU UltraLite mk3 Hybrid:Main Out 1-2を選択して決定』して下さい。 例えば次にスネアドラム用にAuxトラックを作成する時は、Analog 2をインプット欄で決定し、アウトプットを決定する際には、この画像のように『アウトプット欄をクリックしてMain Out 1-2を選択決定』できるようになります。 一回選択決定したものは、このように選択しやすい位置に表示されるようになります。このような手順でハイリーズ☆AltoKit5楽器点数分の5個のAuxトラックを作成し、『各楽器を入力したAnalogインプットをインプット欄で選択決定し、アウトプット欄をクリックしてMain Out 1-2を選択決定』して下さい。 更に、リアルタイムエフェクトドラミングを録音する為のステレオトラックを作成する為に、この画像のように『プロジェクトメニューからトラックを追加を選択し、右にカーソルを移動してステレオオーディオトラックまで持って行って決定』します。 そしてこの画像のように『トラックウィンドウの名前をAllに決定し、インプット欄をクリックして新規ステレオバンドルを選択してMOTU UltraLite mk3 Hybrid:Return Out 1-2を選択して決定』して下さい。この際に『音調整部内のエフェクト処理について』の章で書いた通り、MOTU Audio Setupを立ち上げ『Return AssignでMain Out 1-2を選択決定』している事が重要です。 これらの作業でトラックが作成し終わったら、この画像のように『左下のサウンドバイトをクリックしてミキシングボードに変更』します。 いよいよエフェクト設定の開始です。先ず始めにこの画像のように『ミキシングボートの一番左BDトラックの上から2番目(薄いグレイの一番上)をクリックしてエフェクト選択画面を表示』させ、この画像のように『Dynamicsを選択して、右に現れたInteligent Noise Gate モノを選択して、選択ボタンをクリック』します。するとこの画像のように『BDトラックのインサートAが、Inteligent Noise Gate モノで決定され、エフェクタが表示』されます。次にこの画像のように『薄いグレイの上から二番目をクリック』すると前回選択した画面が表示され、この画像のように『Drumを選択して、右に現れたSubKick モノを選択して、選択ボタンをクリック』します。するとこの画像のように『BDトラックのインサートBが、SubKick モノで決定され、エフェクタが表示』されます。 決定されたインサートエフェクトをそれぞれ本体部を演奏しながら、各ノブを微調整していき、バスドラムは最終的にこの設定に、そしてスネアドラムはこの設定がインサートA~Dでこの設定がインサートEに、タムはこの設定がインサートAとBでこの設定がインサートCに、ハイハットはこの設定に、シンバルはこの設定にしました。全てのエフェクト設定が終わったプロジェクト画面は、この画像になります。 この状態で『ハイリーズ☆AltoKit5』を演奏すると、設定した各エフェクトが各楽器毎に個別的にかかり、CueMixFX本体メインアウトから出力されたダイレクト音に付加されてミックスされた全体演奏を、Allトラックで録音出来ます。コントロールパネルの左上操作ボタンの○ボタンである録音ボタンを押して演奏し、□ボタンである停止ボタンで停止し、その左横のボタンを押して頭に戻し、右△ボタンを押して再生させれば、録音された音を聴く事ができます。下の参考動画は、この設定手順で設定し、演奏した録音動画となっております。 |
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弊社で販売させて頂いているAbelton社製Live 8 は、DJがリミックスやダブミュージック的なライブパフォーマンスをしやすいように考案されたシーケンスソフトウェアであり、演奏能力が初歩的な人でも音楽を簡単に仕上げられるような要素が多く、ドラムプレイにこれらの機能を加味する事により、多少の演奏能力に華麗な音作りでパフォーマンスを行える優秀なパートナーです。 2013年から開始した『21世紀ライブ・愛と癒しのセッション』では、ハイリーズ☆AltoKit7 のバスドラム、スネア、ハイハット、ロータム、ライドシンバルをLive 8 で音作りし、クラッシュシンバル、ハイタムを『Logic付属ソフトであるMainStage』で音作りして、5個の楽器と2個の楽器を交互にプログラムチェンジしながら演奏を行っております。Mac OS Xでは同時に複数のソフトを立ち上げ、それぞれ別々の楽器にエフェクトをかけたり、各ソフトの長所を活かした使い方が可能です。 この章では、Live 8 を用いてリアルタイムエフェクトを設定する手順を解説します。 先ず始めにインストールした後にLive 8 を立ち上げると、このようなスタートアップ画面がデスクトップに現れます。そしてこのような初期設定のセットが開かれます。先ずはこのように『ファイルメニューからLiveセットを保存を選択』します。そしてこのように『例えば《 DEMO 》と名前を入力して保存ボタンをクリック』してセットを保存します。そしてこのように『先ずは使わないMIDIトラックをクリック選択し』Deleteキーを押して不要なトラックを削除します。そしてこのように『Liveメニューから環境設定…を選択し』このように『環境設定の左タブ上から2番目のAudioをクリックしてAudio入力デバイスとAudio出力デバイスをクリックしてMOTU UltraLite mk3 Hybrid ( 14 in. 14 Out) を選択』します。またこのように『入力/出力サンプルレートを48000に指定し、バッファーサイズを50sampleに設定』します。 なお、バッファーサイズは小さいに越した事は無く、少ない楽器であればあるほど、エフェクト数が少ないほど、パソコンの処理能力が優秀なほど、小さい値に設定できます。設定していてチリチリノイズが鳴り始めたり、CPUの負担を表示する右上の%が上がりすぎる時に、数値を上げて下さい。上げると余裕が出ると同時に、エフェクト音の立ち上がりが微妙に遅れてまいります。体感上は50sampleならば、MIDIパッドを叩いてからMIDI音源が鳴り始める遅れに比べれば、比べものにならない位小さな遅れなので、MIDIパッドの遅れが気にならない人ならば、まず気になる事はありません。しかもハイリーズの場合、CueMixFXからダイレクト音がメインアウトに帰っており、それは普通のマイクよりも速く発音されている為、尚更です。 環境設定が済んだ後で、このように『Audioトラックの入力選択欄から1を選択し、先ずはバスドラムに対してエフェクトを設定するトラックと指定』します。次にこのように『Audioという初期名前をコマンド+R(WIndows版の場合はCtrl+R)して選択』し、このように『《 BD 》と入力してトラックの名前を変更』します。 そしてこのように『左の上から2番目のボタンを押してAudio Effectsフォルダの中にあるオーディオエフェクトを開いて』このように『Gateを開いて一番下のSoftyをクリックして一番下の欄にドラッグする事によりバスドラム入力音の先頭にSoftyという種類のGateを設定』する事ができました。前後しましたが、このように『トラックの真ん中より少し下にあるMonitor欄の黄色いAutoが選択されていた状態からInをクリックし、オレンジ色になることによりトラックをAuxトラックとしての機能に』します。Gateを設定した手順でお気にいりのエフェクトを下の欄にドラッグしていき、このように『バスドラムに対してKick Hard AttackというエフェクトとBorgというエフェクトを設定』しました。 次に、このように『作成からオーディオトラックを挿入を選択』して新しいトラックを作成し、BDトラックの手順を繰り返しつつ、
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