バーチャルラビットツアーセット解説
MIDIパッドと生ドラムをフルセットで組み、両方の長所発揮を目指すセットでした。
生ドラムはマイクを立ててミキシングされ、MIDIパッドはサンプラーに信号を送る。
生ドラムの左右にROLAND製のPM-16という三角形のパッドを設置しました。
三角形のパッドの淵3面にもMIDIアサインして、4音出るパッドが2個ありました。
シンバルも口径の大きいもの、チャイナ、小さいものと、各種セットしました。
左足には、16インチサブバスドラムを設置し、MIDIトリガーも付けました。
アコースティックの生のニュアンスは、生ドラムで主に演奏しました。
スネアとタムの間にアルタサウンドのMIDIパッドを設置しました。
スポックスハイハットの上にジングルを設置して、クローズで鳴るようにしました。
オクタバーンを設置し、MIDIトリガーも付けて演奏しました。
プラスティック半径タンバリンも設置しました。
打撃アタックが強かった為、MIDIのタイムラグを自覚できませんでした。
魂と祈りを込めて、演奏する姿。
マレットも使って、演奏しました。
ヘッドをミュートして、ベンディングしました。
両足は、フットペダルの感覚を直に感じる為、素足で打撃しました。

このコンサートの演奏を聴いて、最も勿体ないと思った事は、私にしか解らない事です。

何故ならば、この全ての曲毎の複雑なリズムパターンの数々を、私は舞を舞うように習得し、

演奏しきりましたが、常に心の中には『ジャストとノリの良さ』を念頭に置いておりました。

私はこの演奏が録画されて、録音を聴いてまず最初に思った事は、『MIDI発音が全て等しくモタッてる』

という現実でした。この演奏を聴いて、そう感じるのは、何と!演奏した本人のみであるという事実です。

何故ならば、叩いた本人以外は、この曲のリズムパターンをどういうタイミングで叩いたか知らないのです。

叩いた本人以外は全て『打撃がMIDI信号に変換され、その信号命令による出力音』しか聴いていないのです。

そして叩いた本人だけ『MIDIパッドを打撃した打撃振動』をアタックと感じ、そのタイミングで演奏してます。

このコンサートを終え、親しい友人が『今日の友田さんは心地良いモタリ感だったね』と言われ、最初、

何を言われたのか、さっぱり意味を理解出来ませんでした。その感想の意味が、MIDI変換に由るタイムラグが

20ミリ秒あり、叩いてから発音するまでに時間差がある事を知った事により、やっと理解出来ました。

もう一つ、残念だったのが、私の生ドラム演奏の音量が大きかった為に、平沢氏の歌をマスキングして

しまっていたところでしょう。どうしても生のニュアンスで叩きたかった。その欲求の結果でした。

そして最後の残念は、生ドラムを拾う為のマイクに、MIDIパッドの打撃音が拾われている事です。

特に本編最後の曲みたいに、MIDI音にアタックが無い音の時に『コツン』とMIDIパッドのアタックが

際立ってコンサート会場に響き渡っているのは、極めて非音楽的と申せます。


この3つの残念を解決する為に、私はハイリーズCubeMicを発明し、エフェクト処理に由る

音造りで、なるべくMIDI発音を少なくし、生のニュアンスをそのままにしつつも、

ドラム演奏音量自体をカホン程度に抑える事を実現しました。

もしこのコンサートを『ハイリーズドラムセット』で、もう一度演奏出来たら、

かなりクリアーで良いサウンドが出せそうな予測が立ちます。

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